主に、メタボリックシンドロームおよび感染症を対象に、生物化学の手法を生物個体に応用して生命現象を解明するとともに、疾患治療薬、機能性食品、生物農薬などの開発に取り組んでいます。

感染の制御

①バクテリオファージ(ファージ)による感染症の制御

 溶菌性ファージは細菌に感染するウイルスであり、宿主細菌を溶菌させて死滅させる。抗生物質耐性菌の出現により、ファージを用いた治療法や生物農薬が注目されつつある。我々は、主に農作物に被害を与える植物病原細菌を対象に、溶菌性ファージを探索している。ファージの宿主細菌に対する感染や溶菌に関わる分子を解明するとともに、ファージあるいは溶菌酵素等を用いた生物農薬、抗菌剤の開発を目指す。

 

メタボリックシンドロームに関する研究

 メタボリックシンドロームは内臓型肥満を原因として、インスリン耐性となり、糖尿病、高脂血症、高血圧のリスクが高まり、動脈硬化、さらに心筋梗塞や脳梗塞へと至る。メタボリックシンドロームの予防と治療を推進し、健康な状態で活動できる「健康寿命」を延ばすことは、我が国の最重要課題の一つである。

 

①メタボリックシンドローム・肥満関連遺伝子の機能解明

 メタボリックシンドロームプロジェクトでは、研究ツールとしてマウス、ショウジョウバエといった個体と培養細胞を用いる。メタボリックシンドロームや肥満に関連する遺伝子をショウジョウバエの発生時期特異的、組織特異的にノックダウンあるいは過剰発現し、表現型(複眼や翅の形、肥満)を明らかにする。異常が現れれば、その原因を解析し、遺伝子の機能を明らかにする。

②メタボリックシンドローム・肥満の予防・治療薬の開発

 作出したメタボリックシンドローム・肥満モデルショウジョウバエや培養細胞に、各種天然物や化合物を投与し、メタボリックシンドロームや肥満を抑制する物質を探索する。さらに、有効物質の作用機構を解明し、予防・治療薬へと展開する。